2-2 脳が作る性的快感

性的快感とは、どこで生まれるのだろうか。

多くの人は、性器そのものが快感を作っているように感じている。

しかし実際には、快感を生み出している中心は脳である。

性器は刺激の入口に過ぎない。

触覚、視覚、聴覚、想像、記憶、感情――。
それらの情報が脳へ送られ、脳が「性的価値」を認識した時に、性的興奮と快感が発生する。

つまり、性的快感とは、脳によって作られた主観的体験なのである。

人間は、単なる物理刺激だけで興奮しているわけではない。

同じ刺激でも、

好きな相手か。
魅力を感じるか。
安心感があるか。
興奮する状況か。

によって反応は大きく変化する。

これは、人間の性欲が高度に脳依存型だからである。

人間では、実際に触れなくても性的興奮が起こる。

想像だけで興奮する。
言葉だけで興奮する。
記憶だけで興奮する。
映像だけで興奮する。

つまり性的興奮とは、「脳が価値を感じるかどうか」に強く依存している。

ここで重要なのが、脳の報酬系である。

性的刺激が加わると、脳内ではドーパミン系が活性化する。

すると、

期待、
高揚感、
集中、
欲求増大、

が起こる。

つまり、人間は性的快感そのものだけでなく、「性的快感が得られそうだ」という予測によっても興奮するのである。

恋愛初期に強い高揚感が生まれるのも、このためである。

まだ完全に手に入っていない。
だから脳が強く反応する。

人間は、「確定した報酬」よりも、「得られるかもしれない報酬」に対して、より強く反応する場合が多い。

これは性的興奮でも同じである。

さらに人間では、性欲と承認欲求が強く結びついている。

魅力的と思われたい。
選ばれたい。
価値ある存在と思われたい。

この欲求が、性的快感をさらに増幅する。

つまり人間の性は、単なる繁殖行動ではない。

そこには、

承認、
自己価値、
愛情、
孤独、
優越感、
劣等感、

など、多くの心理的要素が入り込んでいる。

そのため、人間の性的快感は極めて複雑である。

また、人によって性的興奮の方向が異なるのも重要である。

ある人は視覚刺激に強く反応する。
ある人は会話や知性に強く惹かれる。
ある人は支配や服従に興奮する。
ある人は安心感や親密性を重視する。

これは、「どの方向に性的価値を感じるか」という、個々の脳のベクトル構造の違いである。

つまり、人間の性的快感とは、単なる身体反応ではない。

それは、脳が作り出す高度な価値認識システムなのである。

そして、そのシステムは、人間の恋愛、文化、芸術、競争、文明全体にまで深く影響を与えているのである。

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