第4章 後天的に形成される美

1. 後天的な美とは何か

「美しい」と感じることの中には、生物として普遍的な基盤だけでなく、社会や文化によって形づくられた価値観も含まれています。これをここでは「後天的な美」と呼びます。食糧事情や生活環境、宗教や社会制度、流行や芸術の影響によって、美意識は変化します。


2. 環境による美意識の変化

美の基準はその時代の「環境条件」と密接に関わっています。

  • 食糧が乏しい社会では、ふくよかさが豊かさや健康の象徴となる。
  • 飽食の社会では、スリムさが自己管理や洗練の象徴とされる。
  • 自然環境が厳しい地域では、力強さや逞しさが美的価値を持つ。

このように、環境に応じて美意識は相対的に変動します。


3. 文化と社会が生む価値観

文化は、美をさらに複雑にします。

  • 宗教的価値観が美意識を規定する例(中世ヨーロッパにおける「神への奉仕」と結びついた美の観念、日本の「清らかさ」と美)。
  • ファッションや芸術が作り出す美の流行。
  • メディアが理想の体型や顔立ちを繰り返し提示することで生まれる「標準化された美」。

美は単に本能に根ざすだけでなく、社会的に「こうあるべき」と規範化される側面を持ちます。


4. 美意識の複雑化

後天的な美は、地域の違い歴史的変化という二つの軸に沿って変遷します。

  • 地域:西洋では日焼けした肌が魅力的とされ、日本では色白の肌が美とされる。
  • 歴史:戦後の日本ではふくよかさが尊ばれ、現代ではスリムさが理想とされる。

このように、環境と文化の条件が交わることで、美意識は単純ではなく、時代ごとに多様な形をとるのです。


まとめ

後天的な美は、**普遍的な美の基盤に文化や社会が加えた「装飾」**と考えることができます。動物としての本能が示す若さや健康の価値に、社会的な意味づけや流行が重ねられることで、美はより複雑で多様な現象となります。


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