ふしぎな行動の理由
私たちは日々、無数の選択をしています。あるときは勇気を出して一歩踏み出し、あるときはためらって立ち止まり、またあるときは後悔しながら振り返ります。
なぜそんな違いが生まれるのでしょうか。「性格だから」と片づけることもできますが、実はもっと構造的に説明できるのです。
行動を動かす「矢印」
人の行動を決めるのは、さまざまな方向を向いた矢印です。
- もっと遊びたい
- 成功したい
- 怖い思いをしたくない
- 認められたい
- 安心していたい
これら一つひとつが、心の中で働く矢印なのです。
矢印が合わさるとき
矢印はひとつではありません。たくさんの矢印が、同時にあなたを引っ張っています。
- 矢印が同じ方向に向けば、力強く動き出します。
- 逆を向けば、動けなくなります。
- 斜めに交われば、妥協や中途半端な行動になります。
つまり、行動とはひとつの矢印ではなく、矢印たちの合成結果なのです。
日常の例
- 試験前の学生
「遊びたい」という矢印と「勉強しなきゃ」という矢印がぶつかり、机の前でスマホを見てしまう。 - 健康を気にする人
「ケーキを食べたい」という矢印と「健康でいたい」という矢印が逆を向き、半分だけ食べるという妥協になる。 - 告白を迷う人
「想いを伝えたい」という矢印と「拒絶されたくない」という矢印がせめぎ合い、ためらいを生む。
行動の秘密は「矢印の和」
このように考えると、人間の行動は決して謎ではありません。強い意志でもなく、偶然でもなく、「矢印たちの和(合成)」が行動をつくり出しているのです。
「なぜ自分はこうしたのか」と悩むときも、実際には心の中の矢印が示した方向に従っただけなのです。
次の問いへ
では、そもそも「矢印」とは何でしょうか。その成り立ちと意味を知らなければ、この比喩はただのイメージに過ぎません。
次の章では、数学や物理学から始まった「ベクトル(矢印)」という概念が、なぜ人間の行動を説明するのに役立つのかを探っていきます。