あとがき

この本は、「人はなぜ容姿をかくも重要視してしまうのか?」という問いから始まりました。 それは単なる社会批判や道徳の問題ではなく、人間という存在の構造そのものに関わる問いだと、私は考えています。

容姿に惹かれるという感覚は、誰にとっても極めて自然なことです。 美しいものに目を引かれ、整った顔に安心を覚え、第一印象で信頼や好意が生まれる。 それは恥ずべきことではなく、むしろ人間が動物として持って生まれた反応のひとつです。

しかし、その自然な反応が、時に不平等や偏見、見えない差別や疎外を生み出してしまう。 ここにこそ、私たちが直視すべき現実があります。 そして、その現実を否定せず、過剰に肯定もせず、どう向き合うかを考えることが、人間らしさの試金石になるのだと思います。

この本の内容は、ひとつの結論を押しつけるものではありません。 むしろ読者一人ひとりが、自分自身の経験や直感を振り返りながら、 「自分は容姿というものにどう反応しているのか」 「他人を見る目に、どんなバイアスがあるのか」 「本当に信頼したいものは何か」 ―そういった問いに向き合うきっかけになれば、それ以上の喜びはありません。

人間は、見た目だけではわからない。 そう言いながら、私たちは見た目に心を動かされる。 その矛盾とともに生きる私たちが、見えないものを信じようとする努力を忘れない限り、 社会はまだ少しずつ、希望のある方向へ進めると信じています。

最後まで読んでくださった読者の皆様に、心から感謝を申し上げます。


人はどうして容姿を斯くも重要視してしまうのか ― 本能と倫理のはざまで
著者 竹川 レオナ
発行者 ララレオナ出版
発行日 2025年11月1日

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